ロッキー4 あらすじと感想 シリーズ最高傑作!

あらすじ

 ラスベガスでアポロとソ連のアマチュアボクシングヘビー級王者ドラゴのエキシビションマッチが開催された。最初はアポロが往年のテクニックでドラゴを翻弄していたが、ドラゴが反撃に転じると、アポロはその強烈なパンチになす術もなく打ちのめされてゆく。ロッキーが試合を止めようとするが、アポロはそれを拒否し、諦めずに立ち向かっていく。だがそれも空しく、ドラゴの強打を浴び続けた末にアポロはリングに倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまった。
悲しみに暮れるロッキーだったが、ファイターとしての心に火がついたのか全ての悪条件を飲み、ドラゴとの対戦を了承する。
そして試合当日、圧倒的な体格差から何度となくマットに倒されるロッキー。しかし何度倒れようと立ち上がって反撃してくるロッキーの姿に、アウェイだったソ連の会場からロッキーコールが始まった。
最終の15ラウンドを迎える頃には国家のメンツが保てないと焦れる政府幹部と、本来持っていたボクサーとしての本能が呼び起されたドラゴが睨み合っていた。「自分のために戦う」とリングに向かうドラゴ。迎え撃つロッキーとの壮絶な殴り合いの末、ドラゴはついに10カウントのゴングに沈んでいった。
 ロッキーは試合後のヒーローインタビューで「最初は観客の自分に対する敵意に戸惑い、自分も観客を憎んだ。しかし戦いの末に互いに変わった。俺たちは誰でも変われるはずだ」と当時の冷戦状態で緊迫していた東西関係に照らし合わせ、観客に訴えかけた

見どころ

過去の作品とは違い、当時の東西冷戦ムードをストーリーにメッセージとして織り込んでいる。1作目からライバルだったアポロがリング上で命を落とすという衝撃的な展開が話題となった。

・ドルフ・ラングレン…今作でソ連の最新鋭技術によるトレーニングを受けたボクサーを演じた。身長196cm、空手も嗜み、愛称は「人間核弾頭」と言うのだからドラゴを演じるために俳優になったようなもの。その後もその肉体を活かして数々の映画に出演。2010年の「エクスペンダブルズ」では再びシルベスター・スタローンと共演を果たした。

感想

 まず注目したい部分の一つは、科学的なトレーニング方法で身体を鍛えるドラゴと、大自然の中、原始的な方法で身体を鍛えるロッキーの姿の比較である。
 そして二つ目はソ連に乗り込んだロッキーがブーイングの中、闘うシーン。驚異的な力を誇るドラゴに対し、必死に食らいつき、立ち上がるロッキーの姿。そしてボロボロに傷つきながらも本能でパンチを繰り出し、ぶつかりあうロッキーとドラゴ。熱い!
 この熱い姿に感化され、対戦相手であるロッキーに対して声援を送るソ連の観客。やはりスポーツには国境を越える力があるのだと思わせてくれる。我が身ひとつで力を振り絞り戦う選手には声援を送らずにいられないのだ。
 さらに三つ目。ロッキーが試合後に放った言葉。これまでのロッキーシリーズとは趣が違うが、当時の時代背景を思うとその言葉が一人でも多くの人の心に刻まれることを願ってやまない。憎しみからは憎しみしか生まれない、憎むのではなく受け入れ理解する寛容さがあれば、人の心は憎しみという不毛な檻から解放されるのではないだろうか。冷戦状態だった東西関係のみならず今も敵対する国や宗教、民族など全ての問題に投げかけたい言葉である。
 ドラゴが最後の最後まで悪役にはならず、途中でボクサーとしての矜持を取り戻したところもいい。そこからのドラゴとロッキーの戦いはシリーズの中でも最高の迫力と熱量を持っている。スタローンもラングレンもボクサーを演じる俳優とは侮れない。殴っては殴られ台詞もないシーンだがなぜか胸が熱くなる。男と男がノーガードで打ち合う鬼気迫る姿はただただ胸が熱くなる。