リアル・スティーのあらすじと感想

あらすじ

 かつて優秀なボクサーだったチャーリーだが、時代は流れ格闘技ロボットが活躍するようになった現在は、格闘技ロボットのプロモーターとしてなんとか食いつないでいた。自身の夢に没頭するあまり妻子と距離を置いてきたチャーリーの前に、ある日突然母を失った息子が現れる。束の間彼の面倒を見ることにしたチャーリーだったが、いつしか失われていたはずの親子の絆を取り戻し、やがてかけがえのない存在となっていく。

見どころ

主演は「ウルヴァリン」のヒュー・ジャックマン。スティーヴン・スピルバーグ率いるドリームワークスが、親子の絆の再生を描く感動物語。ボクシングの主役が生身の人間からロボットに移行した時代、リングにすべてを懸けた父と息子の起死回生の人生を描く。
父親としての役目を果たしてこなかったチャーリーと母を失った息子が不器用ながらも心を通わせる姿は見ていて心が熱くなる。

感想

ヒュー・ジャックマン…「X-メン」の主役であるウルヴァリンに抜擢され、整ったマスクと恵まれた体格でスターの座をつかんだ。その後「レ・ミゼラブル」で主人公のジャン・バルジャンを演じ舞台で培った演技力と歌唱力が評価され、ゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞している。
 
 「運命は、変えられる」とのキャッチコピーにあるように失われた絆を再び紡ぎ合うストーリー。チャーリーは元ボクサーで夢に挫折し、堕落してしまったかっこいいとはいえない男。息子のマックスもまた素直で純粋とは言い難い少年。この二人が唯一ロボットという繋がりで心を通わせ合っていくのだが、さすがに映画とはいえ少年がスクラップ工場の廃ロボットを再生させるのは無理があるのではないだろうか。そこを除けば再生した廃ロボット、アトムとマックスのやりとりは少年らしくて微笑ましい。
 アトムにボクシングを覚えさせ、各地を回り試合をさせるチャーリーとマックス。連戦連勝の末、最強のロボットと戦うことになる。最強・ゼウスに打ちのめされるアトム。そこで唐突に明かされるアトムに実はちゃっかり搭載されていた模倣機能。チャーリーの動きを真似させてゼウスと戦おうとするアトムだが、やはりここでもゼウスほどのロボットにも搭載されていない模倣機能をマックスがいとも簡単に取り付けていたことに違和感を覚えてしまう。アトムを勝たせるために必死にリング脇でボクシングをするチャーリーと、かっこいい父親であってほしいと鼓舞するマックス。二人の思いを橋渡しする役目を担ったアトムは懸命にチャーリーの動きを真似、ゼウスと戦う。
 あまりにもご都合主義のようなマックスのロボット知識には冷めてしまうところだ。また全体的に「ロッキー」の雰囲気が漂っていて、先の読める展開が続くのだが、観終わってみれば心を通わせあったチャーリーとマックスに自然と涙する作り方は、さすがスティーブン・スピルバーグ率いるドリームワークスのなせる業か。
 最初は息子の親権を姉夫婦に売り渡そうとしていたり、アトムを興行主に高額で売り飛ばそうとしていたチャーリー。彼のほうこそ心がロボットのように冷たくなっていたのではないだろうか。そんなチャーリーとどこかで父親を信じきれないマックスの心を解かすのがロボットなのだから皮肉なものだ。父であり息子である二人の根底にはお互いを認めたい、信じたい、そして求められたいという欲求があったのだろう。そしてきっかけはどうであれ二人の心が通い合い、固い絆が結ばれる姿は涙なくしては見られない。
 SFやロボットを扱うと時に常識では測れないことも可能にしてしまう何でもありの安っぽい映画になってしまうものだが、SFが苦手と敬遠されるには惜しい良作である。